読書感想文 もしドラ

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだわけで。


まず小説として読むのであれば、タイトルで挙げられている『高校野球』というのは「テニスの王子様」における『テニス』と同義な、現実とは少し異なる『高校野球』である事を念頭に置かなければならない。
そして設定やら前後関係に気を取られる事無く、『大らかな心』で読み進めなければこの本は楽しめない。
その境地でこの本に向き合えた方は、きっと感動を味わえる気がする。


小説なんかどうでも良い方は小説部分は読み飛ばして、ドラッカー氏の理論を野球部に適用していく箇所のみを読めば良い。
おそらくこの読み方が一番ストレスのたまらない、この本に対する理想的なスタイルなのだと思う。そうすればきっと読み終えるのに20分とかからない筈。


そしてこの本を読む際に一番してはならない事は、話の前後関係に気を配り、主人公の言動に気をもみ、『ファンタジー世界の高校野球』と『現実の高校野球』を同一視して突っ込みを入れる、という事である。このような読み方をしていると、読み終え振り返った際に、この本で出会えたマネジメントについての感動が、突っ込み所満載という印象に上書きされてしまい残念な事になりかねない。
そして困った事に、私はこの一番してはならない読み方でこの本を読んでしまったのである。
発想も、それを形にした事も素晴らしいとは思うが、この本が小説の体裁をとっている点だけがすごく目立つマイナスな気がする。